突然ですが、アメリカで「Instagram効果」と呼ばれている現象を聞いたことがありますか?
Instagram(インスタグラム)がものすごい勢いで普及するにつれて、写真に対するこだわりのポイントまでも変わってきている現象のことです。
普通、広告に使用するための写真は、撮影にこだわり、芸術的で素晴らしい加工が施された写真を使用するのがセオリーです。ですが、Instagramの影響によって、より自然でユーザーの目線に近いものがInstagramだけではなく、広告画像としても利用されるようになってきている、というのです。
今回は、この現象について考えてみました。Instagramでのマーケティングに、少しでもお役立てください!
写真に対するInstagram効果
「Instagram効果」とは、日常的な写真に、Instagramのフィルターをかけ、シャープに加工し、明るくしたり、タイトルを付けたりして、ユーザーが自分の生活を表現する方法のことです。Instagramは、人びとが自分たち自身を描く方法に加えて、他の人びとを見る方法をも変えたと言えますよね。
そしてそれは、企業やブランドにも波及しています。
ブランドのデザインチームは、広告やキャンペーンの実施の際、過度に説明的で、過度に修正の加えられた写真を利用しないことのメリットを感じ始めている傾向にあります。
代わりに、より自然に近い見た目や雰囲気を好むようになっています。それはInstagramでの利用だけでなく、他の一連のメディアやポスターでもその傾向があります。
Instagramのエフェクト
Deutsch LA.(アメリカの広告代理店)のエグゼクティブバイスプレジデントでデザインディレクターのNathan Iversonは次のように言います。
私たちはこうした現象を「完全な不完全」と呼んでいます。
人びとは、もし目の前の食べ物が過度に整っていて完全なものであれば、声を上げて疑いますよね。だって、それは実際にはそうではないからです。
Iversonは、Instagramは人々の「見る目」を改めさせて、さらに進化させていると言います。
考えてみると、写真をレトロにしたり、華やかにしたりすることは、はるか昔から行われていました。現在との違いは、どのような「見た目」がどんなアピールをするかということを、マーケティング専門知識を活用しつつリアルタイムで分析する、という手法を持っているということです。
Iversonは大衆向けのタコスを売るTaco Bellの事例を取り上げています。「商品のユーザーである」ことによる成功を確認することが出来る事例です。
Taco BellのInstagramの写真は、主に購入後のシーンにフォーカスされています。
例えば、友達がベンチでタコスを食べているかのようなシーン。誰もが感じるような正直な感情を写真に付加します。そしてそうした写真の見た目は、「朝食のような」という新たなブランドアイデンティティを生み出しています。
Taco BellのInstagramはこちら。
また、Taco Bellのサイトを見に行くと、Instagramの見た目に近いメニュー構造が出来ています。普通のメニューページとはちょっと違いますよね?
一つひとつの商品写真は、人が手に持っているシーンが多かったり、これまでの商品写真のイメージとは全く異なる撮り方になっていることがわかります。
広告素材に影響を与えたInstagram
Instagramは、ただ単にデザインと写真に新しい見た目を生んでいるだけではなく、人々が素早く流行をつかみ取るために役立っています。
さらに、世界中のデザイナーやイラストレーター、写真家をフォローし、ホットなスタイルをキャッチし、視覚的に取り入れるられることは、他のデザイナーに優位性を与えることにつながっています。新しい「見た目」の進化スピードが、Instagramの影響でどんどん加速しています。
広告主にとっては、Instagramの見た目を利用する最も大切な場所はInstagram自身です。今やInstagramは主要ブランドにとって、重要な広告プラットフォームになりました。それによって広告素材は、伝統的なデザインからより自然に見えるものへと変化しました。
広告代理店もInstagramで評判の良い写真家を採用し始めています。Wendy’sの広告を請け負っているVMLもまた、新たな見た目で効果的に成果を上げるために新しい写真家を採用したところです。
Wendy’sのInstagramを見て気づくことは、Wendy’sの商品を食べるユーザーの目線での写真が多いことです。共感を呼ぶスタンスにシフトしたのです。
必ずしもすべての広告代理店がInstagramがこうした現象の原因であると考えているわけではありませんが、少なくとも高品質な広告、つまり、ユーザーに影響を与えるものは必ずしも費用のかかるものということではない、ということを思い起こさせるのに役立っていると言えます。
まとめ:広告としての写真はInstagramの登場で変化している
こうしたInstagram現象は、ある意味誰にでも写真素材の幅広い活用を可能にしています。必ずしも素晴らしい芸術的な写真を必要としなくなっているからです。
これは、「質の低下」ではありません。質に対する見方の変化です。
現在の「高い質」は、コンセプトやテーマが明確な明確に含まれている写真を意味するようになっています。それは、撮影技術や加工技術の高さではなく、コンセプトの明確さとその表現が大切になっているわけです。
Instagramに投稿する写真はそういう意味での「高品質」、さらに「共感」に目をつけた写真を活用してブランディングをしてみましょう。