あらゆるEC事業者にとって、商品の力を高めたり、洗練されたUIを構築することなどに加え、顧客にとっての商品の価値や存在意義を付与する、いわゆるブランディングを行うことが常識となってきました。
とりわけ取り扱う商品が趣味や感性と深く関わるアパレルECにとって、効果的なビジネス展開のためには欠かせないプロセスです。
そこで、今回はアパレルECサイトを運営するにあたっての基本的なブランディングについてご紹介します。
Instagramなど画像共有サービスを利用したブランディング
画像引用元: Shopify
無名ブランドにとって特に有用な画像系SNS
アパレルECが取り扱う商品は、少なくともブランドが無名の段階で、検索エンジンを通じて直接顧客と接点を持つことはほぼ不可能と言ってよいでしょう。
むしろアパレルECのブランディングに効果があると言われるのが、SNSの利用、とりわけヴィジュアルを通じて直感的に訴えかけることができるInstagramに代表される画像共有サービスです。
Instagramの浸透力が効果的なプロモーションを可能にする
アパレルECが取り扱う商品の性質上、Instagramが画像ベースのサービスであることに加え、その編集機能によって商品が美しく加工されることがブランディングにプラスであることは明らかです。
さらに重要なのは、そのSNS機能によって、商品の情報がフォロワーという「信頼できるユーザー」経由で、きわめてポジティブなバイアスがかかった状態で流されていくことです。しかもInstagramが有用なのは、本来はターゲットの外にいるはずの顧客までも、フォロワーを軸とした結びつきによって囲い込むことができるという点にあります。
欲しい人に情報を届けるというよりは、情報が届いたところに欲しい人がいるという、極めて効果的なプロモーションが可能になるわけです。
SNSとイベントやコラボとを連動させることでさらなるブランディング効果が
その意味で、各種イベントに参加したり、コレボレーションを実施することによっても、SNSを通じたブランディング効果が期待できます。
音楽イベントやギャラリー、さらにはセレクトショップやレストラン、美容院に至るまで、情報発信能力があるだけでなく、すでにブランディングが確立し、多くの支持者やフォロワーを持つ企業やショップ、個人と連動することで、それぞれパートナーが主体となったバイラル・マーケティングによって効果的な情報拡散を行うことが可能になります。
EC上で行うブランディング
画像引用元: Competences
効果の高いウェブコンテンツによるブランディング
ECサイトを利用したブランディングとは、すなわちウェブマガジンのコンテンツを作成することを意味しますが、これにはアパレルECそのものにウェブマガジンの機能を持たせるか、もしくは別個にオウンドメディアを立ち上げるという方法と、影響力ある既存のウェブマガジンにコンテンツを掲載するという方法の二つが考えられます。
いずれの方法をとるにしても、一定期間は魅力的な情報を発信し続けることがブランディングの前提条件ですが、情報の発信頻度が高いことだでなく、コンテンツの質を高く維持することも重要です。
最も即時的な方法として挙げられるのは、やはり著名人の起用です。著名人といっても、例えば有名モデルに商品を着用してもらうだけでなく、例えばスタイリストやバイヤーといった商品イメージを向上させる、いわゆるインフルエンサーを招いて対談などを企画するという手法も大きなブランディング効果が期待できます。
また、デザイナーやマーチャンダイザーなど商品の誕生に深い関わりのある人物が登場し、商品の魅力を熱く伝えるコンテンツ作成もブランドイメージの向上に有効です。
ウェブコンテンツなら合理的なブランディングが可能に
また商品のイメージ動画やルックブックを作成し、ウェブコンテンツとして整備しておけば、自社ECサイトやオウンドメディアだけでなく、動画サイトやキュレーションメディア、個人ブログ(フェイクも含め)など、様々な形でリユースでき、効果的なブランディングが可能になります。
すみやかな対費用効果の検証も容易
アパレルECサイト、オウンドメディア上でのウェブマガジンを利用したブランディングは、コンバージョンに直接結びつきやすいという利点があるのはもちろんですが、対費用効果の検証を容易に行うことができるというのも大きなメリットです。
ブランディングにとっては、その内容も大切ですが、ブランディングが成功しているかどうか、つまり顧客の獲得につながっているかを早急に見極め、すみやかに方向修正を行える状態を作っておくこともまた重要といえるでしょう。
さいごに
画像引用元: MS DOMAINS
ブランド・アイデンティティとは流動的なもの
アパレルECを運営する上で、いま知っておきたいブランディングの基本についてご紹介してきました。コストさえかけることができれば、ある程度の認知を獲得し、商品や商標をブランドとして育て上げることはもちろん可能です。
ところがブランド・アイデンティティとは、固定したものではなく流動的で、とくにファッションを取り扱うアパレルECの場合、時代の流れに応じた練りなおしの作業が絶えず必要になります。
たえず新しい手法の模索がブランディング成功の鍵
ここではブランディングの方法について、SNSとウェブマガジンという旬なメディアを取り上げましたが、重要なのは市場のトレンドに適合した方法がとられなければならないということです。ここでご紹介した方法は、いずれまたまったく新しいブランディング方法に取って代わることでしょう。
時代の動向に留意しながら、常に最も効果的なブランディングを模索することが、優良なアパレルEC事業には欠かせないのです。