「スマホを忘れると、どこか不安だ!」
筆者を含み、このような気持ちを抱く人は少なからずいるはずだ。
総務省の発表によると昨年度(2014年度)のスマートフォンの所有率は全年代で60%を超え、20代では94.1%、30代では82.2%と若年層では圧倒的な割合を占める。
その人たちは必ずといっていいほどSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)アプリケーションを利用している。FacebookやTwitterなどが有名だが、ここ数年急激な勢いで成長しているのが「Instagram」である。
本記事ではビジネスシーンで立派な武器へとなりつつあるInstagramの勢いに触れ、Instagramを用いた集客におけるハッシュタグ「#」の役割と重要性を中心に説明するとともに、国内外の企業や官公庁の具体的な取り組みをご紹介し、実践に向けていくつかの基礎的なTipsをご紹介しよう。
本記事を読み終える頃にはきっと、あなたはInstagramを用いたマーケティングの世界へ一歩を踏み出そうとするだろう。
ビジネスにおける新たな武器となるInstagram
Instagramというアプリケーションの詳細については様々なメディアで紹介がされているのでそちらに任せるとして、少しばかりその勢いに触れてみよう。
(参考URL:NAVERまとめ)
2015年9月22日米Facebook傘下のInstagramはMAUが4億人を突破したと発表した。
(参考URL:MAU(Monthly Active Users))
→月間アクティブユーザー数(月に一度以上そのサービスを利用する人の数)
これまでのSNS人口はFacebookが14億人と抜きんでており、次点にTwitter3.1億人が並んでいた。(2015年4月時点)遂にTwitterを超えた。さて日本に目を向けてみるとMAUは810万人(2015年6月時点)と過去1年で倍増しており、最も増加率が高い国のひとつである。
もはやこのアプリケーションは単にユーザーが写真を共有しているだけにとどまらず、ビジネスシーンへと用いられるようになったのである。
まだ遅くはない、今こそ新たな武器を手にすべき瞬間である。
決め手は「#」ハッシュタグ
Instagramの投稿を見てみると、シャープともいわれる「#」ハッシュタグが目につく。なんと全投稿のうち83%にハッシュタグが使われているという。
多くのユーザーは投稿した写真に関連性の高い言葉や名称をハッシュタグとして追加する。ハッシュタグは最大30個まで付けることができ、ハッシュタグの内容によってはユーザー同士のコミュニティとも化している。
本題のビジネスシーン、特にイベントなどの集客におけるハッシュタグの役割は大きい。大切なのは多くのユーザーにイベントのことを知ってもらうこと、参加してみたい!と思ってもらうことである。
そのためには多くのInstagramユーザーにハッシュタグ付きで投稿してもらい、ユーザーの友人などへ情報を発信してもらうことである。
もしくは、多くのフォロワーを抱える人気インスタグラマーや人気モデル、芸能人などのインフルエンサーとなるような人に投稿をしてもらうという方法もある。イベントのターゲット層が多くフォローしている芸能人や人気インスタグラマーに投稿をしてもらえるならその効果の大きさは言うまでもないだろう。
ただ、後者の場合はイベントへの出演依頼にコストがかかるなどの懸念もある。手軽に取り組むには前者の方が取り組みやすいだろう。
大切なのは、いかに多くのユーザーにハッシュタグ付きで投稿してもらうか。その動機づけとしてイベントのPOPやパネルを作り、写真を撮りたくなるような環境を作ること。筆者の周りにも実際にイベントのボードを用いて投稿をしている友人を見かける。
ほかにも特定のハッシュタグをつけて投稿してくれたユーザーの中から抽選でプレゼントをする企画や#CTA(CallToAction:LIKE数やコメント数などによってアクション(景品の変化や商品割引率の増加)をする意味のハッシュタグ)なども用いられている。
Instagramは多くの企業が活用し始めている
成長が著しいInstagram、ハッシュタグをはじめとする様々な手法がビジネスに利用されているので、いくつかご紹介しよう。
コミュニティ「GUMANIA(ジーユーマニア)」に登録後、ハッシュタグ「#GUMANIA(ジーユーマニア)」をつけて素敵な着こなしを投稿、SNSに紹介されるほか、プレゼントがもらえる企画を実施。
化粧品のRIMMELがInstagram日本公式アカウントを開設した際のキャンペーン。
ハッシュタグ「#リンメル大好き」とコメントをつけて投稿。抽選でポーチやメイク用品があたる。
ハッピーアワーの時間にビールが半額になるお店で実施したキャンペーン。ハッシュタグ「#HappyBeerTime」とつけて投稿、半額の時間帯を過ぎても半額になる特典がある!さらに投稿した写真を見た友人などがお店に合流するなどと、文字通りみんながハッピーになれるキャンペーンである。
2015年8月1日「水の日」に合わせて、国内最大規模となるインスタミートを開催。
ここでもハッシュタグ「#いろはすMeet」「#LoveWater」が共通して付けられ投稿されており、投稿された中からい・ろ・は・す賞として表彰された。
インスタミート(InstaMeet)
インスタグラマー同士が特定の日次、場所に集まり、写真の共有などを楽しむイベント
福島県の魅力を発信してもらうためのキャンペーン、ハッシュタグ「#ふくしまなかなか」をつけて、県中地域の食や名所の情報を発信すると、「温泉のフチ子 福島県バージョン」がもらえるキャンペーンを行った。
これだけを見ても国内外幅広い企業でキャンペーンが行われている。またユーザーの多く(7割が女性、30歳未満が43%)を若年層の女性が占めているため、彼女らをターゲットにしたブランドや商品をもっている企業が積極的に活用している印象を受ける。
(参考URL:App Ape Lab)
ハッシュタグを利用する際のポイント
多くの企業が新たなビジネスツールとして用いているInstagram。まだ利用していない企業の担当者の方は、今すぐに取り組むべきである。簡単に始められるところがInstagramの魅力でもある。ただ、いくつか注意点があることも事実。
ここでは実際に新たなツールとしてハッシュタグを利用する際に役立つちょっとしたTipsをご紹介しよう。
- イベントなどの際に用いる時は「特徴がある、特有の、ニッチな」キーワードなどを用いるとイベント参加者の把握や管理をしやすい。逆にメジャーなキーワードなどはイベント以外の投稿が多かったりする。
- 同じキーワードでも「漢字・ひらがな・カタカナ・アルファベット・英語」などあらゆる選択肢を考える。
- 特有のハッシュタグに関連性の高いキーワードを見つけ出す。
- 被写体となりそうなものにハッシュタグをプリントし、追加を促す。
これらを気をつけて運用することを心がけていこう。
まとめ:写真は共感を呼ぶための最適なツール
従来のSNSではテキストが主だったが、Instagramは写真や動画がメインで、テキストはあくまで素材を引き立てる脇役。テキストも大切であるものの、前提にあるのは関心や興味を惹く写真や動画である。
素晴らしい写真に最適なテキストやハッシュタグを加えてやれば、ターゲットとしているユーザーはもちろん、あらゆるユーザーが興味を示すはず。マーケティングを難しいものと捉えずに、楽しんでInstagramを運用するべきである。