家具販売のキャンペーンで学生と写真を共有
今、私たちの周りには多くのSNSが存在し、コミュニケーションツールとしてたくさんの人たちに利用されている。代表的なものにFacebookやLINEがあるが、写真に特化して他者と共有できるのがInstagram(インスタグラム)だ。撮影した写真や画像をアップして、自分の感動したものや共感してほしい事を相手に伝える手段として人気のあるSNSである。
多くの企業や芸能人も宣伝や広報のマーケティングとして利用している。今回ご紹介するTargetは、衣服、子供用品、スポーツやアウトドア用品、日用品、食品、ギフト商品を扱う通信販売のサイトだ。米国を中心に多くの店舗を保有している。
新たに家具などのインテリアを販売するために、顧客のFacebookとインスタグラムを利用して、一人一人にあった部屋のコーディネート写真を提供するキャンペーンを開始した。自社製品を使ってのコーディネートなので、通信販売で購入することが可能である。
新生活に向け部屋のインテリアに悩む大学生をターゲットにしたキャンペーン
春になると、似トリなどのインテリア小売業大手の企業では、新生活を迎える大学生や社会人向けに、店内に家具をディスプレイしている。あれこれ悩みながら家具を購入するのは大変なので、お任せスタイルで購入する人も珍しくはないだろう。
Targetでは、学生たちのFacebookやインスタグラムから好みの配色を分析し、コーディネートした部屋の写真を同サイトで閲覧することができる。インスタグラムは写真がメインのSNSなので、個人的な好みの色を分析するには良い材料と言えるだろう。Facebookの利用方法も類似しており、やはり顧客の押した「いいね!」や自分でアップした写真から好みの色を調査し、最終的に家具をセレクトしていくのだ。
顧客の好みを知るためにクイズを出題するところも面白い。質問の内容は趣味、好きな色、音楽についてばかりでなく、早起きか遅く起きるタイプかという、ライフスタイルに関するものまであった。ターゲットの年代が大学生なので、難しい質問よりもクイズ感覚で取り組める気軽なものが好評と判断したのだろうか。
このキャンペーンを始める以前、Targetでは、インテリア雑貨を販売するトロント生まれのデザインブランドUmbra、個人や企業がアイデアを投稿・閲覧できるサイトを運営するBetterific、そしてデザインスクールの学生たちと共に同キャンペーンの試験的な運用を行った。結果的に76ドルのグリーンのオフィスチェア、13ドルのランプ、50ドルのカートを販売した。
実物大の模型の部屋でコーディネートが行われる
コーディネートに使用した部屋自体は模型を使っているそうだ。400個もある商品の中から顧客に合う商品をセレクトして模型の部屋に配置していく。パソコン操作でデザインすると思っていたので驚きである。ちなみにこのサービスを利用するためには、事前にアカウントを作成する必要がある。
メールアドレス、パスワード、住所、氏名、大学名、学校が始まる日付、大学のある場所、携帯電話の番号などの情報を入力しなければならない。また顧客のFacebookとインスタグラムの情報が必要なので、Targetと友達になると良いだろう。
趣味の合うルームメイトを探す手助けになる
学生寮の部屋割りはギャンブルに近い。寮の場合、以前は大学側が学生のルームメイトを決定することが普通だったからだ。気の合わないルームメイトと同室だったら、楽しいはずの学校生活も微妙になってしまうだろう。今はルームメイトを探すサイトがあるというから時代も変わると言える。
Targetが提案したコーディネート写真を自分のFacebookやインスタグラムに投稿し、気の合うルームメイトを探すことに活用してみてはいかがだろうか。同サイトでは一人部屋だけでなく、二人部屋のコーディネートもできるので、その写真をSNSに投稿し、ルームメイトを募集することに活用できるのだ。
部屋全体の写真を載せることが顧客にワクワクした気持ちを与えることに繋がる
インテリアを販売するお店では、ベットやテーブルなど一部の家具はディスプレイしているが、部屋全体の規模ではコーディネートしていない。そのため顧客は、部屋に家具を配置したときのイメージが掴みにくかった。
自分の部屋にこの家具が合うと思って購入してみても、配置してみたらイメージと違っていたという経験は、誰でもあるのではないだろうか。
部屋ごとコーディネートした写真を提供することは、その部屋で新生活を送る想像力を働かせることに繋がるので、自然と購買意欲を刺激する効果も期待できる。
利用者数の多いFacebookやインスタグラムを利用したこと
ブランドとカテゴリーマーケティングを担当する副社長のRick GomezはニュースサイトのMashableでこのように述べた。
今の学生たちは、どんなことをする時にでもまず携帯電話を使用する。今回のサービスのように、お店とSNSで繋がりサービスを受けることに便利さを感じているのだ。私たちはそこに新たな可能性があることを信じている
まとめ・インスタグラムの幅広い活用方法
世間の一般的なインスタグラムのイメージは、キレイな写真や面白い写真を投稿し、友達やネットユーザーと共有することだろう。対照的に、芸能人は宣伝や知名度を上げるために自分の写真をアップするし、衣料品の生産・販売を行う大手企業のユニクロでは服の写真を投稿することが多いと感じる。
自社にとって利益になることだけでなく、顧客にとっても利益になることを追求したことから、Targetのインスタグラムの利用の仕方は斬新だったと言える。インテリアの販売を促すキャンペーンとして、多くのユーザーを保持するFacebookやインスタグラムを活用し、部屋をコーディネートするというサービスにたどり着いたのだ。
正攻法としてだけでなく、別なインスタグラムの活用方法を知ることができたように思う。集客・販促に繋がるインスタグラムの利用方法をもう一度考えてみてはいかがだろうか。彼らの事例が思わぬヒントを与えてくれるかもしれない。