Webマーケティングを適切に行うには、まずは戦略を立てる上で必要な情報収集が鍵となります。
市場や業界全体の流れを俯瞰し、先行企業や競合する他社の動向を把握することなくして、ECビジネスの成功はありません。
業種にかかわらずマーケティングの役に立つ、無料で使える分析ツールをご紹介します。
「キーワードプランナー」
画像引用元: Google adwords
SEMのための必須ツール
ECを利用する消費者のほとんどが、商品を購入する際だけでなく、ほぼ毎日のように検索エンジンを利用しています。そんな日々移り変わる消費者の動向をつかむ上で欠かせないのがSEM(サーチエンジンマーケティング)です。
無料のものだけでも、様々なツールが出回っていますが、最も利用価値が高いのが、Googleによるインターネット広告サービス「アドワーズ(Google AdWords)」が提供している「キーワードプランナー(Keyword Planner)」です。
EC事業者であればきっと知っている人も多いと思いますが、GoogleだけでなくgooやAOL、BIGLOBEといったパートナーのサーチエンジンから、検索された単語の回数や統計(平均月間検索ボリューム)を取得することでSEO対策を講じたり、また特定の単語について、同時に検索される傾向がある関連キーワードや複合キーワード、また競合性(その単語と関係するサイトがどれくらい存在しているか)や推奨入札単価についても知ることができます。
他のSEMとの併用がより効果的
「キーワードプランナー」以外にも、ただ単語を入力するだけで関連キーワードを簡単に検索できるものなど、より手軽なサービスもあるので、状況に応じて使い分けると良いでしょう。
ただ、無料版では検索する回数や機能に制限があったりするので、ひとまずはすべてのサービスが無料で利用できる「キーワードプランナー」をおすすめします。
「グーグルトレンド」
画像引用元: Search Engine Land
キーワードを制する者はECを制する
同じくGoogleが提供している「グーグルトレンド(Google Trends)」もぜひ利用したいツールの一つです。特定の単語がどれくらい検索されているか、いわゆる「キーワードのトレンド」についてリサーチするのが最も基本的な使い方です。
検索ボリュームが時系列でわかりやすくグラフに表示されるだけでなく、検索数の動きに影響したと思われるイベントについても知ることができます。また、国や都市・地域ごとの人気についてもランキング形式で提供されるほか、通常のWebページ検索の他、画像やニュース、動画、ショッピングといった検索サービス単位で統計を絞ることもできます。
市場の動向を大局で捉える習慣づけに
「グーグルトレンド」を利用するにあたって知っておきたいのが、グラフ化された情報のうち縦軸が表すのは、単語が検索された絶対数ではないということ。「グーグルトレンド」では、すべてのGoogle検索における相対的な数値、すなわちすべての検索総数のうち、当該の単語が検索された割合が示されています。
マーケティング上で有意義なのは、単語の検索数それ自体ではなく、あくまで趨勢変動です。中長期的な消費者のニーズの動向をつかむには、業界だけでなく社会全体の動きを俯瞰しながら、トレンドの移り変わりを把握することが不可欠です。そうした市場の動きを大局的に捉えることができる点にこそ、「グーグルトレンド」の有用さがあると言えるでしょう。
「シミラーウェブ」
画像引用元: Similar Web
パワフルなアクセス解析ツール
自社サイトの現状を把握するだけでなく、コンバージョンを最適化する上で、アクセス解析はWebマーケティングにおいて常識となっていますが、これを競合する他社やお手本とする企業のサイトにおいて行おうというのがWebサイト分析ツールと呼ばれるものです。なかでも最もよく知られているのが「シミラーウェブ(SimilarWeb)」。
自社サイトのアクセス解析で行うアクセス数、滞在時間また流入経路やどんな単語を経由してアクセスされているかなどを簡単に調べることができます。マーケッターの多くが利用する信頼のおけるツールですが、無料版では有料版に比べトラフィックデータの精度こそ劣りますが、アクセスの概要について把握することは可能で、自社サイトをより適切に構築する上でたいへん有用です。
「Ahrefs」
画像引用元: ahrefs
驚くべき情報量を誇る被リンク分析ツール
コンテンツマーケティングが重視されればされるほど、被リンクの獲得が適切に行われているかどうかの確認作業が必要になりますが、数ある被リンク分析ツールのなかでも、最強と言われているのが「Ahrefs」。
数兆を超えると言われるサイト情報を蓄え、しかも2週間ごとに更新がなされているという膨大なデータを背景に、極めて詳細な被リンク分析が可能です。使い方はとっても簡単。調べたいサイトのURLを入力するだけで、多岐にわたるデータを取得することができます。
URLランクやバックリンク数、リンク元の情報はもちろん、被リンクがどう推移しているかもわかりやすいグラフで一目瞭然。また、ページやコンテンツ単位で、しかも日毎にかなり細かく調べられるようになっています。無料版では分析の回数やデータの表示に制限があるものの、パワー不足は感じません。
「バズスーモ」
画像引用元: Siteber
「バズ」を発見するSNS拡散分析ツール
プロモーションにおいて大きな効果を発揮するSNSをマーケティングのツールとして利用するEC事業者も多いと思います。そんなFacebookやTwitterなどのSNS上で、コンテンツの拡散状況について手軽に調べることができるのがSNS拡散分析ツール「バズスーモ(BuzzSumo)」です。
キーワードやURLを入力するだけで、該当するキーワードを含んだコンテンツ、もしくはURL内の人気コンテンツが、シェア率の高い順に並べられるという仕組み。
さらにこの「バズスーモ」の面白いのは、「View Sharers」機能を使うと、SNS上で広く拡散されるきっかけを作ったユーザーを特定できるという点。ビジターは使用回数に制限がありますが、無料登録すれば無制限となります。利用価値の高いツールなので、ぜひお試しください。
さいごに
Webマーケティングにとって有利な無料で使える分析ツールを5つご紹介しました。
ECサイトを運営する上で強い味方になってくれるに違いありませんが、いずれもデータを提供するものですから、重要なのはその使い方です。無料で入手可能であるということは、誰もが全く同じデータを所有していることを意味します。
気の利いた戦略などというものはありません。データを眺めながら改良点を見つけては対処し、効果があらわれなければまた別の方法を試す。パワフルで派手な印象の分析ツールが力を発揮するのは、そんな地道な作業の積み重ねとともにある時と言えるでしょう。